「いきいきと働く営業」から組織活性が広がる
――ヤスハラケミカル株式会社様

2020/2/21

独自の天然素材による製品開発を強みに、名だたる大手企業などへ長年に渡る製品供給を行なってきた化学メーカー、ヤスハラケミカル株式会社。これからの時代にさらなる発展を遂げるべく、HRインスティテュート(以下、HRI)のワークアウト®コンサルティングに基づき、2017年3月から2年に渡り「組織・営業力強化プロジェクト」を行いました。プロジェクトはどのように進められ、どんな成果を上げることができたか。社長室室長の宮田英次様と営業部部長の松井和則様にお話を伺いました。

(取材協力・左から)
ヤスハラケミカル株式会社
社長室 室長 宮田 英次 様
営業部 部長 松井 和則 様

経営層や管理職との対話で組織の課題を診断

―貴社がHRIに依頼されたきっかけは?

宮田:当社は1947年に創業し、1959年に安原油脂工業株式会社として設立されました。天然由来のテルペンを原料に、世界で唯一の樹脂素材など当社独自の製品開発を行い、大手メーカーをはじめ各企業へ販売してきました。けれども近年、原料高や資材高などの影響で厳しい市場環境変化にさらされており、対応策を図る必要が出てきました。

第3次中期経営計画において、その重点施策の一つとしてとして掲げたのが「風土改革」でした。風土改革となると社内の人間だけで遂行していくのはハードルが高いと思われましたので、より広い視野を持って、かつ客観的な視点で当社の課題を検討してもらえるようなパートナーを探していたのです。
大手コンサル会社だと、大手企業などお客様をたくさん抱えて、片手間になってしまいそうな気がしますが、HRインスティテュートの稲垣(一郎 取締役シニアコンサルタント)さんとお話ししたところ、とても熱心に取り組んでもらえそうだな、という感触を得ました。我々としては本気で風土改革に取り組もうと考えていますし、コンサルタントの方にはある意味、しっかりと力を注いでいただきたい。稲垣さんならかなり時間を割いて一生懸命取り組んでもらえそうだと感じて、HRIさんにお願いすることにしました。

―どのような形でプロジェクトを進めていったのでしょうか。

宮田:まずは稲垣さんに、当社の役員層や部門長と1対1でミーティングしてもらい、組織の課題や改善すべき点をレポートでフィードバックしてもらいました。全体像として、「目標(ビジョン)」と「人・組織」、「戦略」、「計画」、「仕組み(制度・プロセス)」それぞれの観点から、それらがどうあるべきで、どう改善していくべきなのかをご提案いただきました。

ご指摘いただいた内容につきましては、非常に的確で、かつ我々としてもある程度認識してはいながら、なかなか明確に方向性を示しきれない部分ではありました。そこにHRIさんの客観的な視点からご提案いただき、より踏み込んで検討することができました。様々な要因がある中でどこから改革を行なっていくべきかを考えたとき、まずは営業部門をモデルケースとして、その効果を他部署へも波及できればと考え、営業力強化に取り組むことを決めました。

併走型のアドバイスで自信を取り戻した若手社員

―営業部門ではどのような課題意識を持っていましたか。

松井:これまでは当社独自の特殊な素材という商品特性を活かして営業活動を行なってきましたが、ここ数年、原料高や物流費高騰が影響して、苦戦を強いられてきました。取引先から厳しい意見をもらうこともあり、後ろ向きな仕事を強いられることも多く、メンバーのモチベーションを維持するのも難しい状況でした。また、個人の知識や取引先の情報をうまく共有できず、役員層からは「営業に元気がない」「他部署への提案やアピールができていない」といった指摘を受けていました。

―そういった状況をどのように改善されたのでしょうか。

松井:担当の稲垣さんからはまず、「個人としてのスキルや知識、物事を判断する力は非常に優れている」と、ありがたい言葉をいただきました。ただ、それをチーム全体としてプレゼンスを出しながら、それぞれの考え方を共有し、「こうすべき」というビジョンを育んでいくことが重要だ、と。そこで、若手社員を中心としたプロジェクトメンバーを対象に、稲垣さんと定期的に面談を行い、個々人の課題や悩みに対してアドバイスをいただき、それに基づいて各メンバーが業務に取り組むことになりました。

たとえば、社内外に対するコミュニケーションのための資料の作り。これまでは自分たちなりに作ったものを転用していましたが、さまざまな企業を見てこられた稲垣さんから指摘いただいて、より視野を広げ、視座を高めながら組織連携を促すような資料を作れるようになりました。すると、提案自体も自信を持って伝えることができるようになり、前向きに仕事へ取り組めるようになってきました。

―他にも変化はあったのでしょうか。

松井:普段の行動からもわかるくらい、さまざまな変化がありました。セールスはどうしても「個人商店」的なところがありますが、少しずつ共通認識のもとで動けるようになってきました。たとえば、情報共有。当社にはもともとSFA(営業支援)ツールがありましたが、なかなか活用しきれていなかったのを、それぞれがしっかりと入力するようになったうえ、書くスピードも内容の精度も上がってきました。自社の強みを再認識し、ブラッシュアップしたうえで、どんな取引先にアプローチできるかと考え、事前調査を行い、前向きな提案ができるようになってきたのです。

宮田:営業部門だけでなく、研究部門など他部署との連動もより活発化し、コミュニケーションを密に取るようになりました。昔の話ですが、それこそ研究者たちが開発したものを「こんなもの、売れないよ」とボヤくようなこともありましたが、いまでは開発の時点から、いかに営業に取り組んでいくかを考えるのが当たり前になっている。プロジェクトを通じて若手メンバーが特に成長した部分だと感じます。

松井:若手の成長は目覚ましいものがありますね。これまでは会議などであまり意見を言わなかったり、上長に促されてやっと発言したりしていたのが、いまでは自分から意見するようになりました。

宮田:営業会議に出席する役員にも、「いやあ、最近営業部はだいぶ変わったねえ」と驚かれますからね。ただ、それには松井部長の働きかけによる部分も大いにあると思います。若手へ積極的に機会を作っていて、社長が見ているなかでプレゼンを発表させたり、その裏で事前に他部署の部門長や担当役員に根回ししたり、メンバーがやりやすいように調整してくれましたから。それでいて、自分ではなく「こいつが頑張ったんだ」と、部下をほめますしね。

松井:特に、ある若手社員が大きく成長して、周りに良い影響を与えてくれたんです。彼女はもともと意欲的な社員だったのですが、なかなか自信を持てず、あまり前に出ようとしませんでした。それが、稲垣さんとの面談を通してさまざまな方法論を教えてもらって、「若手のリーダー」的な存在になってくれたのです。周りを引っ張ってくれるようになりました。

宮田:毎日のようにああでもないこうでもないと、仕事や課題に取り組んでいましたからね。

松井:「稲垣先生に、ヘタな資料は見せられん」って(笑)。これまで取り組んだことのなかった取引先でも、みんなで勉強して、飛躍的に知識がついて、見事なプレゼンをすることができた。そうやって自分たちに自信をつけられたのが大きかったと思います。

営業一丸となって新たな価値提供を

―今回のプロジェクトを振り返って、いかがでしょうか。

宮田:単純なハウツーではなく、我々の事例に落とし込んだやり方を提案していただいたのが、非常に効果的でした。他の企業でも同じように行われている研修をそのままやるのではなく、当社の事業内容や業務に則して実践的に取り組むことができました。メンバーが自主的に集まって、「これをこうしたほうがいい」などと、活発な声が聞こえてくるのです。「やらされ」ではなく、自らの行動につなげる力を身につけることができたと思います。

松井:メンバーのモチベーションは飛躍的に高くなったと思います。それに、研究部とも連動して、お客様のニーズを踏まえつつ新製品開発につなげられるよう、重点的に取り組めるようになってきました。

宮田:会社としても、今年の5月から新たに組織編成を行い、それまで営業一部、営業二部に分かれていたのを統合し、営業部として一丸となって取り組む体制を整えました。強力なリーダーシップを持ってチームを率いるよりも、メンバー一人ひとりが「こう考える」「こうしたい」という思いを持って、自律的にドライブし、それをリーダーがフォローするチームマネジメントのほうが、より変化の激しい時代にも対応できる。松井部長を中心に、まさにそういったチーム体制が整いつつあると思います。

松井:社内のいろんな方々にも相談に乗っていただいて、部下たちにも支えられていますけどね。これからさらに、お客様に対しても価値あるものを提案できるよう、尽力していきたいと思います。

宮田:若手が成長してきたぶん、これからは中間層のレベルアップも図っていかなければなりません。それは今後重点的に取り組んでいきたい部分です。そしてこの営業部門の変化を、研究や技術部など他の部門にも広げていけたらと考えています。

(写真左から)
ヤスハラケミカル株式会社 営業部 部長 松井 和則 様
ヤスハラケミカル株式会社 社長室 室長 宮田 英次 様
株式会社HRインスティテュート 取締役シニアコンサルタント 稲垣一郎

 

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