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ベトナムにおける「顧客視点」の商品開発を
──パナソニック アプライアンス ベトナム有限会社様

2020/10/16

パナソニック株式会社の家電部門を担当する社内カンパニー、アプライアンス社(以下、パナソニック アプライアンス社のベトナム現地法人であるパナソニック アプライアンス ベトナム有限会社(以下、パナソニックAPベトナム)では、2019年9月から2020年6月にかけて「VNW(ベトナム・ワークアウト)研修(以下、VNW研修)」を行いました。パナソニック アプライアンス社では2011年からHRインスティテュート(以下、HRI)のオリジナルメソッド「ワークアウト®」手法に基づいた独自の研修「APW(アプライアンス・ワークアウト)研修(以下、APW研修)」を毎年開催。そのベトナム版として行われたのが今回のVNW研修です。

パナソニック ベトナムではどのような背景からVNW研修を導入したのでしょうか。またそこで得られたのはどういった経験だったのでしょうか。研修の推進責任者を務めるパナソニックAPベトナム R&Dセンター所長の寺井謙治様、研修事務局のThuy(トゥイ)様、そして研修に参加したTuyen(トゥエン)様、Phuong(フオン)様にお話を伺いました。

(取材協力) (右から寺井さん、Tuyenさん、Phuongさん、Thuyさん) パナソニック アプライアンス ベトナム有限会社 R&Dセンター 所長 寺井謙治 様 パナソニック アプライアンス ベトナム有限会社 R&Dセンター Mac Van Tuyen 様 パナソニック アプライアンス ベトナム有限会社 R&Dセンター Nguyen Huu Phuong 様 パナソニック アプライアンス ベトナム有限会社 R&Dセンター Nguyen Thi Thanh Thuy 様

若き開発者たちにマーケットインの発想を

ー貴社はどんな事業に取り組んでいるのでしょうか。

 

寺井 謙治 様(以下、寺井):パナソニックAPベトナムは2003年にパナソニックホームアプライアンス社(現・パナソニックアプライアンス社)の子会社として創立されました。冷蔵庫の製造からはじまり、現在では洗濯機の製造も行なっています。2013年からはR&Dセンターを立ち上げ、顧客ニーズに即した東南アジア向けの商品開発に取り組んでいます。

 

ー親会社であるパナソニックアプライアンス社で行われている「APW(アプライアンス・ワークアウト)研修」ですが、なぜ貴社でもそのベトナム版である「VNW研修」を開催することになったのでしょうか。

 

寺井: 2013年からR&Dセンターを立上げましたが、ローカルのニーズを踏まえた商品開発を行うために2018年から先行開発チームを設立しました。ただ、一からR&Dセンターを立ち上げたこともあり、開発経験が3、4年程度、平均年齢も約28歳と非常に若いメンバーが中心で、まだまだ経験も浅いことが課題でした。もっと顧客視点を身につけ、自分たちで商品を考えられるようには……と考えたとき、APW研修が頭に浮かんだのです。

実はここへ着任する前の2013年、私自身がAPW研修を受講し、非常に勉強になりました。技術畑出身なので、プロダクトアウトの方法論が染み付いていました。顧客視点からいかにアプローチしてマーケティングを行い、商品企画を行うのか。一連の研修を通じてマーケットインの手法を学ぶことができました。今でもそこでの学びが役立っています。ですから、ベトナムのメンバーにもぜひこれを経験してもらいたいと考えました。

そんな時に、アプライアンス社の田岸(弘幸 様。APW研修の初代塾長であり、現・社長付上席主幹)に先行開発チームの話をしたところ、HRIさんがベトナムにも拠点を持っていることを知りました。まさに渡りに船だったわけです。社長(太田晃雄 様)にも相談して、ベトナムでも研修を行なってもらうことになりました。

実践的な研修から生まれた新製品の「種」

ーベトナムではどのようなVNW研修を行なったのですか。

 

寺井:日本と比べるとまだ人数が少なく、予算規模も小さいため、トライアル的に全4回の研修とすることにしました。ただ、日本で行なっているAPW研修の要素をなるべく取り入れたいということで、担当の櫻橋さん(櫻橋 淳 HRI 取締役 シニアコンサルタント)にはかなり要望を聞いていただくことになりました。APW研修をギュッと凝縮し、密度の濃い内容になったと思います。基本的なマーケティングの考え方やデザイン思考を学んだうえで基本戦略を策定し、商品企画やプロトタイプ作成を行うプログラム構成になりました。

また、商品企画の方向性として、これまでにないまったく新しいものをつくるというより、既存製品の枠組みから新機能やデザインを考えよう、ということになりました。本気で新製品になりうるものを目指そうと、チューターとも相談して決めました。

ー参加メンバーはどのように決めたのですか。

 

寺井:R&Dセンターと商品企画部から、20代から30代前半の若手を中心に14名が集まりました。基本的には立候補制で、自ら新しいことに取り組みたい人に手を挙げてもらいました。直属の上司からの推薦で参加した人も何人かいます。それぞれ、 冷蔵庫チームと洗濯機チームの2チームに分かれて、ベトナム市場向け商品の開発を目指しました。それぞれのチームに2名ずつ日本人社員の課長クラスがチューターとして参加しましたが、彼らがそこまで介入しなくても、メンバーたちが中心となって積極的に議論を進めてくれました。

ー実際に研修に参加されて、いかがでしたか。

 

Tuyen(トゥエン)様(以下、Tuyen):私は冷蔵庫チームのメンバーとして研修に参加しました。普段はR&Dセンターでマネジャー職として勤めているので、企画の経験はなかったんです。これまでこうした研修を受けたことはありませんでしたから、なかなかいいアイデアが思い浮かびませんでした。メンバーみんなで議論しながら企画開発やプロトタイプ作成を行ない、商品企画の流れを実体験として学ぶことができました。

 

Phuong(フオン)様(以下、Phuong):私もR&Dセンターで開発職として働いていて、商品企画の経験はありませんでした。マーケティングの知識もなかったので、3C分析や4P分析、SWOT分析といったフレームワークは、アイデアを考えるうえで非常に参考になりました。商品を開発するにあたって、どのようにお客様にベネフィットのあるものにするか。 アイデアをどう形にするのか。いろいろと話し合いながら、なんとかプロトタイプ作成までこぎつけられたので、本当によかったです。

ー研修を行なって、印象的だったことはなんですか。

 

Tuyen:研修の時間だけでは最終発表会までに間に合いそうになくて、残業させてもらってメンバーと議論したり作業を進めたりしました。仕事も忙しかったので、時間調整が難しく、少し大変でしたね(笑)。なかなかゴールが見えない中、寺井さんが方向性を示してくれて、なんとかまとめることができました。

Thuy(トゥイ)様(以下、Thuy):私は事務局の担当として運営に携わっていたのですが、メンバーの皆さんが積極的に取り組んでくれて、とてもありがたかったです。それとベトナムの研修ではだいたい、みんなワイワイ話し合って明るい雰囲気なのですが、日本の研修は「先生が前に立って指導する」固いイメージがありました。でも櫻橋さんは明るくてフランクな方だったので、楽しく研修ができました。

 

寺井:正直なところ、研修をはじめるまでは不安だったんです。全4回とはいえ、最後は発表会ですから、実質3回でどこまでできるのだろうか、と。でも想像以上に具体的な提案が両チームから出てきて、本当に嬉しかったですね。特に洗濯機に関しては、日本の幹部とも議論して、ぜひ今後、新商品として出せるようにチャレンジしたい、と考えています。コアとなるアイデアはPhuongさんが考えたんですよね。

Phuong:はい。もしこのアイデアが本当に商品になって、発売されたら嬉しいですね。店頭に行って、商品が陳列されているところで「これ、私が考えたんだ」って、言いたいです(笑)

寺井:私も20年以上前にアジア輸出担当を務めていた頃、ベトナムへ旅行に行って、店頭に自分が担当する商品が並んでいるのを見て、本当に嬉しかったんですよ。彼らにもぜひ、それを味わせられたらいいなと思います。

ベトナムの人々のために「ベトナム発」の製品を

ー研修を経て、メンバーの皆さんに何か変化はありましたか。

 

Thuy:仕事に取り組みながら、研修の宿題もやらなければいけないので、はじめのうちはみんな戸惑っているようでした。でもメンバー同士でよく議論するうちに、お互いの仕事を理解するようになりました。R&Dセンターと商品企画部は別の部署なので、これまでは密接に仕事する機会が少なかったんです。そういう意味では、今回はとてもいい機会になりました。将来的にも良い影響があるのではないかと思います。

Tuyen:研修を受けて改めて感じたのは、これまでの商品開発において、お客様の視点が足りなかったということ。競合他社もいろいろな商品開発をしているので、私たちも積極的に取り組まなければなりません。最も大切にしなければならないのはお客様のベネフィットである、それを大切にしていかなければならないと考えています。

Phuong:今回学んだことをR&Dセンターでの先行開発にも生かし、お客様のことを考えて良い商品をつくって、ベトナムの人々に還元していけたらと思います。

ー今後の展望をお教えください。

 

寺井:今回の研修を通じて改めて認識したのは、本来、ベトナム人のメンバーがもっとマネジメントに関わり、主体的に仕事をしていくべきなのではないか、ということ。ベトナムの方々はとても真面目ですし、勤勉で、仕事に対しての情熱もあります。研修を経て、メンバーの「自分たちでやりたい」という気持ちは強くなったように感じます。もちろん、まだまだ経験も少ないですし、私たちが指導してフォローすべきところはあるけど、ゆくゆくはベトナム人が中心に組織運営を行い、ベトナムの人々のために商品開発を行うことが、理想的なあり方なのではないでしょうか。

そういう意味では今回、この研修をきっかけとしてメンバーたちに考える習慣が身につき、新たな商品を開発する一連の流れが定着していくといいなと思います。私たちが担当している日本と中国にR&Dセンターがありますが、ベトナムは歴史が浅く、規模も小さいものの、R&Dセンターがあること自体が強みだと思うんです。お客様に近いところで潜在ニーズを明らかにし、アジアの競合他社を凌駕するような優れた「ベトナム発の商品」を生み出すことができれば。また引き続き、HRIさんにもご協力いただければと考えています。

取締役シニアコンサルタント 櫻橋 淳 からひと言

今回のVNW研修では、日本での研修の1/2以下となる4回のプログラムということもあり、きちんとアウトプットを生み出せるか不安はありました。けれども結果として、ベトナムの技術者たちが積極的に議論し、課題と向き合い、非常に優れたアイデアが生まれました。それはひとえに、寺井さんが日ごろからベトナムの技術者たちと密接にコミュニケーションを図り、彼らの力を引き出しているからだと思います。

弊社では海外を拠点とする日系企業からさまざまな相談をいただきますが、文化やコミュニケーションの違いなどもあって、マネジメントに悩む人は多いようです。けれども日本企業の管理型マネジメントをそのまま当てはめるのではなく、ローカルの力を引き出し、伸ばそうとしている寺井さんのあり方は、これからのグローバル企業にとって重要な姿勢なのではないでしょうか。パナソニックAPベトナム様との研修を通じて、私自身もこれから日本企業がグローバル企業として成長していくうえで重要な、組織開発のサポートをしていきたいと決意を新たにしました。

会社概要

社名 株式会社HRインスティテュート
設立 1993年11月
事業内容 ビジネスコンサルティング&研修プログラムの企画・開発・実施
本社所在地 東京都渋谷区神宮前1-13-23
代表者 代表取締役社長 三坂健
URL https://www.hri-japan.co.jp

<本件に関するお問い合わせ先>

担当 三坂・藤森・太田
tel 03-3423-3201(代表)
Email jinzai@hri-usa.com

 

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