新たなビジネスを生む「イノベーター」を育てる
——株式会社ベイクルーズ様

2019/6/14

「Spick & Span」「ACME Furniture」「J.S. BURGERS CAFE」などセレクトショップや家具、飲食、フィットネス事業など幅広くライフスタイルを提案するベイクルーズグループは、2013年からHRインスティテュート(以下、HRI)のワークアウト®手法に基づいた新規事業開発プログラム「STARTUP CAMP(スタートアップ キャンプ)」をスタート。その背景や実践方法、実績について、株式会社ベイクルーズ人財総括の皆様にお話を伺いました。

(取材協力)
(左から)
株式会社ベイクルーズ 人財統括 櫛谷哲史 様
株式会社ベイクルーズ 人財統括 武田加奈子 様
株式会社ベイクルーズ 人財統括 木村遼平 様

 

社名BAYCREW’S GROUP(ベイクルーズグループ)
事業レディース・メンズのトータルファッションの企画・製造・販売・直営店の運営、飲食店の運営、インターネット通販サイトの運営、及び家具の販売、フィットネス事業の運営
設立1977年

ボトムアップから新たなビジネスを産み出す

―貴社がHRIのプログラムを導入されたきっかけは?

 

櫛谷哲史様(以下、櫛谷):当社は2012年に35周年を迎え、次世代を担うようなリーダーを育成する必要性を感じていました。代表取締役会長の窪田(祐様)が創業し、一代で成長を果たしてきましたが、今後の更なる成長を見据え、マネジメント層・ミドルマネジメント層・若手リーダー層、それぞれの階層において、将来の幹部候補となり得る人財を育成するプログラムをスタート。その中で、狩野(尚史 シニアコンサルタント)さんに、若手リーダー層向けプログラムの1つであるロジカルシンキングについてご担当いただいたのが最初の出会いとなりました。

 

その後、更なる成長のためには、「社員のボトムアップから新たなビジネスを生み出す仕組みづくり」が重要課題であると考え、2013年に全社員参加型のビジネスプランコンテストとして、「STARTUP CAMP」を立ち上げたのです。

 

 

―導入当時に感じていらっしゃった課題はどのようなものでしたか。

 

櫛谷:時代の流れとしても、ファストファッションが流行し、業界への参入障壁が低くなり競合が増え、消費行動の選択肢が増えるなか、これまでのように「ブランドを立ち上げ、トレンドアイテムを作る」だけでは、お客様のニーズに応えられなくなってきました。これからのお客様のニーズに響く「新たな顧客価値の追求」が必要になってきたわけです。そのためには、さらにボトムアップからその機運を生み出し、新たなビジネスを推進するような仕組みが、会社にとっても必要でしたし、それこそが次世代を担うリーダー育成にも繋がるのではないかと考えました。

年齢・役職・社歴・雇用形態問わず「アイデアを形にできる」

―「STARTUP CAMP」はどのように行われているのですか。

 

櫛谷:まず、エントリーは正社員に限らず、契約社員やアルバイト、業務委託も含め、誰でも資格があります。年齢や入社年次、役職の規定もありません。日々お客様と接しているなかで「こういう商品があったらいいな」というアイデアを、ぜひ事業へ活かしてもらいたいと考えています。 そして、「書類選考」「面談選考」によって事業化決定プレゼンに進むメンバーを決定していきます。

 

とはいえ、いきなり「事業計画書を書いて、役員たちへプレゼンする」なんて難しいことです。そこで、ビジネスプラン策定の手順やコンセプト、事業価値の明確化、マーケティング、戦略の論理、収支シミュレーションやプレゼンテーションの手法などを、狩野さんのプログラムによって伝えていただいています。昨年は5月から11月の最終プレゼンにかけて、後半の3カ月間はとにかくアウトプットを繰り返しながら事業戦略を具体化し、細部を詰めていくことに費やしていきました。そして、これはSTARTUP CAMP開始当初から決めていたことですが、「事業化決定プレゼンで必ず結論を出す」ということ。役員への最終プレゼンを経て、1時間ほど内容を審議し、「事業化するビジネスプラン」を決定します。つまり、参加者たちは経営陣がそれだけの判断ができるほどの材料を用意しなければならない、ということです。狩野さんには、その知見やノウハウをもとに参加者たちを導いてくださっていますが、STARTUP CAMPで事業化が決まったメンバーからも引き続き事業のご相談をさせていただいているようです。

 

―どのくらいの応募件数があり、そこからどれだけ事業化へ繋がったのですか。

 

武田加奈子様(以下、武田):初年度は約90件、次年度以降は約40件の応募に対し、選考を経て最終プレゼンまで8、9件残る、という形になっています。それから事業化に至ったものは、まだ公開されていないのを含めて延べ10数以上のビジネスプランが承認されています。

 

 

武田:最終プレゼンに残ったプランは、いずれもその約半数が店舗所属のスタッフによるもの。店舗からのアイデアは大切にしたいと考えていましたが、あえて残そうというより、結果としてそうなっているのは、私たちとしても喜ばしく感じています。

「チャレンジする意欲的な人財」の採用にも寄与

―参加者の反応はいかがですか。

 

木村遼平様(以下、木村):実は私自身、事務局の一員の立場にありながら、企画者としても参加させてもらいました。私と同様に一般社員もいれば、役職付きの社員、店舗所属の社員もいます。それぞれの得意な部分をフォローしてもらいながら、支え合えるような横のつながりが本当にありがたかったですね。

 

 

櫛谷:事業案は基本的に個人に紐づいているのですが、ディスカッションするうち、途中から二人のアイデアを持ち寄ってチームを編成した人もいました。初年度に事業化が決まり、2016年にスタートした「HARDY NOIR(アルディー ノアール)」はそのパターンです。HARDY NOIRは、海外における「リトルブラックドレス」を切り口に、カジュアルからフォーマルまで”黒”だけでアイテム展開するブランド。主要メンバーの一人は店舗で副店長を、もう一人はクリエイティブ部門のディレクターというキャリアから、それぞれの強みを活かしてチームを組み、事業化に漕ぎ着けました。表参道でのテストマーケティングを経て、現在はポップアップショップやECなどで展開しています。

 

(STARTUP CAMPから生まれた新ブランド。左から、「HARDY NOIR」と「EMILY WEEK」)

 

武田:2017年にスタートした新ブランド「EMILY WEEK(エミリーウィーク)」も、STARTUP CAMPによって生まれました。提案者の柿沼(あき子様)は、もともとデジタルマーケティングの部署に在籍しながら、「女性のバイオリズムに沿ったライフデザインブランド」というコンセプトのブランドを提案し、事業化が決定されました。事業化にあたっては、彼女は部署を異動して、企画やMD、販促からすべて関わることになりました。本人も思ってもみなかった職域の広げ方になったと思います。

 

木村:実は、柿沼は以前からそのアイデアを暖めていて、前職のときに当社のSTARTUP CAMP制度を知って、「もしかしたらベイクルーズならできるかもしれない」と、入社の動機にもなったようです。それで、入社早々にキャンプへエントリーしたみたいなんですよね。

 

―STARTUP CAMPは次世代リーダーの育成だけでなく、「チャレンジしたい」と考える意欲的な人財の採用にも繋がっているんですね。

 

櫛谷:当社には「まずはやってみよう」という社風もありますし、一人ひとりのやりたい意思を尊重する会社です。ファッション業界はもちろん、さまざまな業界から志を持った方々に興味を持ってもらえるようになったらうれしいですね。

 

 

武田:トライ&エラーを大切にチャレンジできる風土がありますので、事業立ち上げ経験がまったくない若手社員でも、担当役員や上司の指導のもと、社内のリソースを活用しながら、「そこまでしてやりたかったこと」を形にしていく。その難しさや厳しさを経験しながら、プロセスを進めることは着実に力になるはずです。

 

木村:私自身は最終発表会で落選しましたが、STARTUP CAMPで学んだことや仲間とのつながりが貴重な財産となって、今の業務に大きく役立っています。「チャレンジすることに価値がある」という風土を実感しました。また、とある事業化決定メンバーは、未だに「“ひとりSTARTUP CAMP”をやってる」というんです。事業化決定後の初年度では一つだけ商品化できたものの、さらにラインナップを増やすべく、プロトタイプを作って、取引先や生産や営業など各部門と連携し、社内外の信頼関係を積み上げているんです。

 

櫛谷:事業化決定プレゼンはゴールではなく、スタートラインなんです。ローンチさせるまで諦めない気持ちと、そのための強く熱い想いを持ち続けられるかどうかも、プレゼンで見極められているんですよね。これからも狩野さんの指導をいただきつつ、STARTUP CAMPをアップデートして、新たな事業開発メンバーを生み出す体制を整えていきたいですね。

(右から)
株式会社ベイクルーズ 人財統括 櫛谷哲史 様
株式会社ベイクルーズ 人財統括 武田加奈子 様
株式会社ベイクルーズ 人財統括 木村遼平 様
株式会社HR インスティテュート 取締役 シニアコンサルタント 狩野尚史

 

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